初めてマンションを売却する人の中で、不動産会社に相談する前に自宅マンションの相場価格を知っておきたい人は多いです。 そこで今回は、マンションを売却するときに知っておくべき相場の調べ方や値段の決まり方、高く売る方法までわかりやすく解説します。
目次
1:マンション売却の相場を確認
まずはマンション売却の相場を確認しましょう。以下より、東京23区のマンションと全国のマンション売却相場を解説していきます。東京23区のマンションの価格相場
マンションナビのデータによると、2019年上半期と2020年上半期を比較したところ、マンション価格は以下のように変動しています。- 23区中19区が上昇(上昇率は平均3.55%)
- 23区中4区が下落(下落率は0.52%)
なお東京カンテイの資料で、長期スパンでのマンション価格の推移を確認しました。その結果、東京23区のマンション価格は、2012年と2020年を比較すると40%以上の上昇率です。
このように、短期・長期どちらの視点から見ても、東京23区のマンション価格相場は上昇傾向ということが分かるでしょう。
マンション売却相場の動向
次に、もう少し広い範囲でマンション売却相場を確認してみます。国土交通省の資料によると、全国のマンション価格指数は以下のように推移しています。
時期(各年の6月) | 価格指数 |
2012年 | 102.9 |
2013年 | 106.9 |
2014年 | 111.7 |
2015年 | 119.8 |
2016年 | 130.1 |
2017年 | 135.3 |
2018年 | 142.0 |
2019年 | 146.5 |
2020年 | 151.7 |
上記のように、2012年から2020年までの指数を比較すると、48.8ポイントも上昇しています。前項と合わせて、東京23区だけでなく全国的にマンション価格が上昇していることが分かるでしょう。
- 東京23区は長期でも短期でもマンション価格は上昇
- 全国的に見てもマンション価格は上昇傾向にある
2:マンション売却の相場・値段が決まる要素

相場・値段が決まる要素
- 周辺の成約価格
- 建物や室内の状況
- リフォーム歴
- 新築と中古
- 築年数
マンションの相場・値段が決まる要素を知らないと、不動産会社から相場を提示されても適正かどうか分かりません。そのため、マンション売却前に相場・値段が決まる要素を知っておく必要があるのです。以下より詳しく解説していきます。
周辺の成約価格
マンションの相場・値段が決まる最も重要な要素は、周辺の成約価格です。要は、最近周辺のマンションはいくらで成約(契約)したのか?を参考にするということです。具体的には駅距離・築年数・間取りなど、条件が近いマンションの成約事例をピックアップして相場・値段の参考にします。
たとえば、A駅徒歩7分・築15年・3LDK(70平米)のマンション相場・値段を調べたいのであれば、以下のように条件の近いマンションをピックアップします。
- A駅徒歩10分圏内
- 築10年~20年
- 2LDK~4LDK
- 60平米~80平米
なお、成約事例が少なければ「A駅徒歩10分→15分」や「築10年~20年→5年~25年」など、条件の範囲を広くして成約事例を探していきます。
建物や室内の状況
次に、建物や室内の状況はマンションの値段を決める要素です。ただ、マンション全体の相場というよりは、「売却しようとしているマンション(部屋)の値段」が決まる要素になります。要は、築年数の割に建物の外観や共用施設は劣化していないか?室内に大きな傷・汚れはないか?という点が、マンションの値段を決めるということです。
ただ、よほど目立つ劣化でないとマンションの値段が大きく下がることはないでしょう。というのも、中古マンションの購入者は「中古なので多少の傷・汚れが仕方ない」と認識しているからです。
とはいえ、たとえば室内のクロスがボロボロ…フローリングに大きな穴がある…など大きな劣化は、マンションの値段が下がる要素になります。
リフォーム歴
次に、リフォーム歴もマンションの値段を決める要素です。こちらも、マンション全体の相場ではなく、「売ろうとしているマンションの値段」を決める要素になります。リフォーム歴とは具体的に以下の通りです。- クロスを張り替えた
- フローリングを張り替えた
- 水まわり設備を交換した
そのため、リフォーム歴がある場合はリフォーム工事の内容が分かる資料を用意しておくと良いでしょう。
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新築と中古
次に、新築と中古でマンション売却の相場・値段は異なる点について解説します。まず、新築マンション価格の内訳は以下の通りです。- 土地代
- 建築費用
- 諸経費(広告費用や人件費など)
- 不動産会社の利益
一方、中古マンションの場合は、上述したように「周辺で成約した事例」が相場になります。つまり新築マンションのような価格内訳ではなく、単純に「周辺ではいくらで売れているのか?」という要素により、中古マンションの相場・値段は形成されているのです。
築年数によって変わるマンションの価格
次に、築年数もマンションの値段に影響を与えます。その理由は2つあります。1つ目の理由は、築年数が経過すると外観も内装も劣化するからです。2つ目の理由は、築年数が経過すると集客しにくくなるからです。
仮に、築22年のマンションを売り出しているとします。そのマンションの立地や間取りがどんなに良くても、価格がどんなに安くても、ポータルサイトで「築20年以下」と検索されれば目に触れることさえありません。
目に触れることがなければ集客できないので、価格はずるずる下がっていきます。このように、築年数によっては検索画面に出てこないこともあるので、築年数は値段に影響を与えるのです。
- マンション売却相場は周辺の成約事例で決まる
- 建物や室内の状況が悪ければ値段が下がる要素になる
- リフォーム歴があれば値段が上がる要素になる
- 新築は建築費用や不動産会社利益なども値段に含まれる
- 築年数は集客にも影響を与える
3:相場・値段を自分で調べる方法と注意点

しかし、その前に自分で調べて相場・値段を把握しておきましょう。そうすれば、不動産会社が提示する査定価格の精度を見極めやすくなります。
以下より、自分で調べる3つの方法と自分で調べる際の注意点を解説します。
方法1:レインズ・マーケット・インフォメーション
マンション売却の相場・値段を自分で調べる1つ目の方法は、レインズ・マーケット・インフォメーションを利用することです。レインズ・マーケット・インフォメーションは、不動産会社が閲覧できるレインズの「成約事例」の一部を確認できます。レインズ・マーケット・インフォメーションを利用して、マンションの相場・値段を調べる具体的な流れは以下の通りです。
使い方流れ
- 不動産種類を選択(マンション・戸建)
- 地域詳細を選択(沿線や駅など)
- 駅からの距離を選択
- 広さや築年数なども選択
このように、自分が調べたいマンションの条件を選択して検索するという流れです。たとえば、東京都豊島区「池袋駅」で検索すると、以下のような検索結果になります。

画像には映っていませんが、右側には成約時期や築年数などが載っています。
方法2:土地総合情報システム
マンション売却の相場・値段を自分で調べる2つ目の方法は、土地総合情報システムを利用することです。土地総合情報システムは国土交通省が運営するサイトで、アンケート調査を基にした成約価格を確認できます。土地総合情報システムを利用して成約価格を調べる流れは以下の通りです。
土地総合情報システムの使い方流れ
- 取引時期を選択
- 不動産の種類(マンション・土地など)を選択
- 地域を選択
基本的な流れはレインズ・マーケット・インフォメーションと同じです。たとえば、「東京都豊島区池袋」で検索すると、以下のような検索結果になります。

一覧で表示させるとレインズ・マーケット・インフォメーションのようには平米単価は出ません。
平米単価を出したい場合は、エクセルなどにダウンロードして計算するか、「地図で表示する」を選択すれば出てきます。
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方法3:マンションナビ
マンション売却の相場・値段を自分で調べる3つ目の方法は、マンションナビを利用することです。マンションナビは不動産一括査定サービスですが、マンションナビが保有する膨大なデータを基に、以下のように相場価格を算出してくれます。
注意点:ピンポイントのエリアは分からない
レインズ・マーケット・インフォメーションや土地総合情報システムの注意点は、以下の通りです。- レインズ・マーケット・インフォメーション:詳細な住所が分からない
- 土地総合情報システム:不動産会社の情報と異なる
土地総合情報システムは、地図上で閲覧すれば丁目まで見られます。ただ、情報源は国土交通省が実施するアンケート調査です。一方、不動産会社がチェックするのはレインズの情報なので、情報源が異なる点には注意が必要です。
レインズ・マーケット・インフォメーションや土地総合情報システムには上記のような注意点があるので、あくまで参考価格として認識しておきましょう。
- 相場を自分で調べることは可能
- 具体的にはレインズ・マーケット・インフォメーションと土地総合情報システムを利用する
- ただし精度に欠けるので参考として見ておく
- マンションナビならピンポイントな相場を確認できる
4:相場・値段を知るときにおすすめの方法

不動産会社に査定依頼するべき理由
- 不動産会社しかレインズを閲覧できないから
- ノウハウがないと相場は分かりにくいから
- 査定依頼は簡単だから
詳しく解説していきます。
不動産会社しかレインズを閲覧できないから
1つ目の理由は、不動産会社しかレインズを閲覧できないからです。ここで注意したいのが、不動産会社が業務で利用しているレインズと上述したレインズ・マーケット・インフォメーションは、全く一緒のものではないということです。
不動産会社が業務で利用するレインズには、各不動産会社が取引した不動産の成約データが1つずつ正確に入力されています。
一方のレインズ・マーケット・インフォメーションでは、あくまでも不動産会社が閲覧できるレインズの「成約事例」の一部のみが確認できるだけです。
上述したように、マンション売却の相場・値段を決める要素は周辺の成約事例になります。そして、その成約事例の情報がストックされているのはレインズのみです。
そのため、レインズを閲覧できる不動産会社しか正確に相場・値段を算出することはできません。
自分で相場・値段をある程度調べることも大事ですが、最終的にはレインズで、全ての不動産取引の成約データを閲覧できる不動産会社に査定依頼する必要があります。
ノウハウがないと相場は分かりにくいから
2つ目の理由は、ノウハウがないと相場が分かりにくいからです。たとえば、一般の方が以下のようなレインズの情報を入手したとします。- 平米単価45万円、A駅徒歩8分、築12年
- 平米単価38万円、A駅徒歩4分、築20年
- 平米単価58万円、A駅徒歩4分、築5年
つまり、成約事例を基にマンション売却の相場・値段を算出することは、経験・ノウハウがある不動産会社でないと難しいのです。
査定依頼は簡単だから
3つ目の理由は、査定依頼は簡単だからです。もし査定依頼に膨大な時間がかかるのであれば、不動産会社への査定依頼はおすすめできません。しかし、一括査定サイトを利用すれば、複数の不動産会社へ簡単に査定依頼できます。特にマンションナビなら、わずか60秒で最大9社へ査定依頼できます。マンションナビは、マンション名を検索することで住所が自動入力されるので、一括査定サイトの中でも査定依頼に時間はかかりません。
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- マンションの相場と値段を知るためには不動産会社に査定依頼する
- 不動産会社はレインズを閲覧できて、ノウハウが豊富だから
- 査定依頼は一括査定サイトのマンションナビがおすすめ
5:マンションを相場より高く売るポイント

相場より高く売るポイント
- 色々な不動産会社に査定依頼する
- 疑問があれば第三者に聞いてみる
- 売りやすい時期がある
- リフォームは慌てて行わない
- 部屋をすっきりとした印象にする
- 部屋の雰囲気を明るくする
- 内覧で好印象に思ってもらう
詳しく解説していきます。
色々な不動産会社に査定依頼する
まずは色々な不動産会社に査定依頼することです。というのも、以下のように不動産会社によって得分野が異なるからです。- 富裕層向け不動産が得意
- 戸建の売却が得意
- ファミリー向け物件が得意
- 地元の不動産売却が得意
マンションナビなら、マンション売却を得意とする不動産会社が全国で2,500店舗も登録されているので、査定するならマンションナビがおすすめです。
疑問があれば第三者に聞いてみる
不動産会社に査定依頼した後、査定価格や不動産会社とのやり取りに何か疑問があれば、第三者に意見を聞くことが重要です。というのも、やはり第三者の立場ではないと、公平な意見を聞けない可能性があるからです。その点、マンションナビなら元不動産実務経験者のサポートを受けられます。具体的には「問い合わせ」から質問することで、元不動産実務経験者(プロ)の意見を聞くことが可能です。この点も、マンション売却時にマンションナビの利用をおすすめしている理由になります。
売りやすい時期がある
マンションには売りやすい時期があります。最も売りやすい時期は新年度が始まる直前の3月です。というのも、4月に転勤を迎える人が多く、区切りのシーズンになるので、マンションを探している人が多いからです。4月ほどではないものの、7月・10月も転勤が多い時期なので、比較的その直前の6月・9月は不動産取引が活発になりやすいといえます。
マンションは成約まで3か月ほどかかるケースが多いため、それぞれの月の3か月前までには査定依頼しておくと良いでしょう。
リフォームは慌てて行わない
マンションの売却に伴いリフォームした方が良いのか?と聞く人は多いですが、リフォームを慌てて行う必要はありません。というのも、リフォームしたからといって高く売れるか分かりませんし、買主からすると自分でリフォームしたいと思う可能性もあるからです。
そのためリフォームするなら、一旦売り出してから検討者の状況を見て判断しましょう。たとえば集客はできているものの、内装の劣化を理由に検討を取り止めるケースが多い場合などは、リフォームを考えても良いかもしれません。
部屋をすっきりとした印象にする
部屋をすっきりとした印象にすることも重要です。床に物が置いてあると部屋が狭く見えるので、特に内見者が来るときは室内の物は収納にしまうなどして、整理しておいた方が良いです。家具がごちゃごちゃしているなら、できるだけ排除しておくことが望ましいです。もちろん生活に必要な家具なら残しておくべきですが、「引っ越しするときに捨てる」物であれば、早めに処分しておくことをおすすめします。
部屋の雰囲気を明るくする
部屋の雰囲気を明るくすることも重要です。たとえばクッションカバーやテーブルクロスを白系の明るい色に変えるだけでも、部屋の雰囲気はガラッと変わります。ほかにも、照明やインテリア、観葉植物などを工夫すると部屋の雰囲気は明るくなります。もちろん、そこまで費用をかける必要はないものの、できる限り工夫して部屋の雰囲気は明るくしておいた方が、内見者の印象は良くなるでしょう。
内覧で好印象に思ってもらう
内見で好印象に思ってもらうための方法は以下の通りです。- 出迎え時にきちんと挨拶する
- 室内やバルコニー用のスリッパを用意しておく
- 質問には積極的に答える
内見の案内は、基本的に不動産会社の営業担当者が行うので忘れがちですが、売主からすると内見者は「お客さん」です。そのため、上記のようなことは忘れずに行いましょう。
- マンション相場を知るためには色々な不動産会社に査定依頼しよう
- 第三者のフラットな意見を聞けるマンションナビがおすすめ
- 売りやすい時期を見極めて早めに査定依頼しておく
- リフォームは売り出して様子を見てから判断する
- 部屋の整理をしてすっきりさせておく
- 内見者へのおもてなしを忘れない
マンション売却の相場・値段のまとめ

マンションを売却の相場はいくら?相場を調べる方法や値段の決まり方
- マンション相場は周辺の成約事例で決まる
- 参考価格として自分で相場や値段を調べておこう
- 最終的には不動産会社へ査定依頼する
- マンションナビを利用して色々な不動産会社に査定依頼する
- 部屋の整理や内見者のおもてなしをして印象を良くする
まず、マンション相場・値段は周辺の成約事例で決まる点を認識しておきましょう。そして、自分で成約事例を調べつつも、最終的には不動産会社へ査定依頼する必要があります。
その査定依頼するときには、マンション名を入力すると住所が自動で入力され、60秒ほどで最大9社に無料で査定依頼できるマンションナビがおすすめです。問い合わせればプロの元不動産実務経験者も対応してくれるので、下記のフォームから査定依頼してみてください。
記事監修者情報

■保有資格:宅建士
■プロフィール
2008年より新卒で大手マンションディベロッパーに勤務。新築マンションの販売や仲介、用地取得など幅広く従事。プロジェクトマネージャーとして、新築マンションの販売を何棟も歴任。自身のマンションを購入・売却した経験もある。
2016年から独立して、不動産関係を中心にライター業を開始。多数の大手メディアに掲載歴を持つ。営業担当者・プロジェクトマネージャーの経験、および自分自身の経験を武器に、分かりやすい記事の執筆を心がけている。