「マンションを売却した年の固定資産税も支払う必要はあるのだろうか?」と考えている方もいらっしゃるでしょう。マンションを売却した場合も固定資産税を支払いますが、全額を負担する必要はありません。今回は、固定資産税の計算方法や、マンション売却時の精算方法をまとめました。
目次
固定資産税とは不動産を所有している人が支払う税金

固定資産税の納税通知書は、毎年4〜6月ごろに不動産を所有する人に対して振込用紙とともに郵送されます。
納付期限は、自治体によって異なります。東京都における令和2年度の納付期限は、以下の通りです。
- 第1期:令和2年6月1日から6月30日まで(納期限6月30日)
- 第2期:令和2年9月1日から9月30日まで(納期限9月30日)
- 第3期:令和2年12月1日から12月28日まで(納期限12月28日)
- 第4期:令和3年2月1日から3月1日まで(納期限3月1日)
固定資産税と都市計画税の違い
固定資産税は、毎年1月1日の時点で固定資産を所有している人の全員に課税されます。対して都市計画税は、市街化区域にある土地や建物(マンション・戸建)を所有している人に課税されます。所有する固定資産が市街化区域外にある場合、都市計画税はかかりません。
「市街化調整区域」は市街化を抑制するための規制のあるエリア。基本的には建物を建てられない地域である。
ただし、固定資産税と都市計画税のどちらも、該当する固定資産を所有する限り、毎年支払いが必要な税金である点は共通です。・固定資産税は毎年1月1日時点で不動産を所有する人に対して課税される
・都市計画税が課税されるのは所有する不動産が市街化区域にある場合
・都市計画税が課税されるのは所有する不動産が市街化区域にある場合
固定資産税は固定資産税評価額をもとに計算される

- 固定資産税:課税標準額×1.4%
- 都市計画税:課税標準額×0.3%
課税標準額は、固定資産税評価額に軽減措置や経年減価などが考慮されて決まります。
固定資産税評価額とは、固定資産税を決める際の基準となる評価額。固定資産税や都市計画税だけでなく、登録免許税や不動産取得税などを算出する際にも用いられる指標です。
固定資産税評価額の決まり方
固定資産税評価額の目安は、土地の場合、公示地価の約70%です。仮に公示地価が1,000万円前後であれば、土地部分の固定資産税評価額は700万円が目安です。公示地価とは適正な地価の形成に役立てるために国が公表しているもので、一般的な土地売買の際の指標や、公共事業の取得価格の基準になる
建物の固定資産税評価額は、マンションの規模や構造、築年数などによって決まります。建物は、土地と違って経年劣化していくため築年数の経過したマンションは、固定資産税評価額が低くなるのです。なお、固定資産税評価額は、3年に1度の頻度で評価替えによって金額が変更されます。
固定資産税の軽減措置
固定資産税は、土地と建物でそれぞれ軽減措置が実施されており、適用することで税負担が軽減されます。住宅が居住用である場合、土地部分の固定資産税は、以下のように土地面積に応じた軽減税率が適用されます。
区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
小規模住宅用地 (200m²以下の住宅用地) | 固定資産税評価額 × 1/6 | 固定資産税評価額 × 1/3 |
一般住宅用地 (200m²を超える住宅用地) | 固定資産税評価額 × 1/3 | 固定資産税評価額 × 2/3 |
長期優良住宅 | 左記以外の一般住宅 | |
---|---|---|
戸建て | 新築から3年 | 新築から5年 |
マンション等 | 新築から5年 | 新築から7年 |
※マンション等とは3階建以上の耐火構造・準耐火構造住宅
ただし軽減措置を受けるためには、新築物件が以下の両方を満たしている必要があります。
- 居住部分の床面積の割合が1/2以上
- 居住部分の床面積が一戸につき50㎡以上280㎡以下
固定資産税の減額を受けるためには、新築した年の翌年(1月1日新築の場合はその年)の1月31日までに確定申告が必要です。
・固定資産税や都市計画税は固定資産税評価額をもとに決まる課税標準額に所定の税率をかけて算出される
・土地と建物それぞれの条件を満たすと固定資産税が軽減される
・土地と建物それぞれの条件を満たすと固定資産税が軽減される
固定資産税の計算方法をシミュレーション

- 専有面積90㎡
- 土地の固定資産税評価額:1,500万円
- 建物の固定資産税評価額:1,000万円
以上のケースで、新築マンションを購入した場合と築6年の長期優良住宅ではないマンションを購入した場合とで、固定資産税を比較していきます。
新築マンションの場合
新築マンションにおける固定資産税を計算した結果は、以下の通りです。 固定資産税: 土地:1,500万円×1/6×1.4%=35,000円
建物:1,000万円×1/2×1.4%=70,000円
合計:105,000円
※税率は市町村により異なります。
建物:1,000万円×1/2×1.4%=70,000円
合計:105,000円
※税率は市町村により異なります。
築6年のマンションの場合
築6年の中古マンションでは、建物部分の固定資産税評価額に経年による減価を考慮する必要があります。東京都の「経年減価補正率表」によると、6年後の非木造建物減価補正率は0.8335であるため、建物部分の固定資産税評価額は833万円となります。
また築6年の長期優良住宅ではない中古マンションの固定資産税は、土地部分の軽減措置は適用されますが、建物部分には適用されません。
固定資産税:
土地:1,500万円×1/6×1.4%=35,000円
建物:833万円×1.4%=116,620円
合計:151,620円
※税率は市町村により異なります。
このように築6年目の中古マンションは、建物の軽減措置がなくなるため、新築時よりも固定資産税が高額になります。土地:1,500万円×1/6×1.4%=35,000円
建物:833万円×1.4%=116,620円
合計:151,620円
※税率は市町村により異なります。
・新築マンションよりも中古マンションの方が固定資産税は高額になりやすい
売主と買主のどちらが払う?マンション売却時の固定資産税

固定資産税の納税通知書は、1月1日時点でマンションを所有していた人に送付されます。例えば、マンションを3月に売却した場合、固定資産税の納税通知書は売主に送付されるのです。
しかしマンションを売却する場合、売主が1年分の固定資産税を全額負担するのは納得ができませんよね。
よってマンションを売却した場合の固定資産税は、所有期間に応じた金額を日割り計算して売主と買主でそれぞれ負担するのが一般的です。
負担割合は起算日をもとに決められる
固定資産税を日割り計算する際は、起算日を決める必要があります。たとえば、起算日が1月1日の場合、1月1日から引渡日の前日までの固定資産税を売主、引渡日以降から年末までを買主がそれぞれ負担します。起算日は、1月1日もしくは4月1日のどちらかで不動産会社によって異なります。関東では1月1日、関西では4月1日が一般的のようです。
起算日がいつなのかは、売買契約時に不動産会社に確認しておきましょう。
マンション売却時の固定資産税の計算方法
では、固定資産税の日割り計算は、どのように行うのでしょうか?以下の条件でシミュレーションしてみましょう。- 固定資産税額:12万円
- 起算日:1月1日
- 引渡し日:6月1日
上記の条件におけるマンションの所有期間は、売主が1月1日〜5月31日までの150日間、買主が6月1日〜12月31日までの215日間です。よって、売主と買主が負担する固定資産税は、それぞれ以下の通りです。
- 売主:12万円 × 150日/365日≒49,315円
- 買主:12万円 × 215日/365日≒70,685円
すでに売主が1年分の固定資産税を支払っている場合、買主が売主に70,685円を支払って精算します。
固定資産税は不動産会社に聞くのが最も早い
固定資産税の計算方法は、複雑であるため専門知識がない方は、計算が困難でしょう。そこで固定資産税は、マンションの仲介を依頼している不動産会社に聞くのが早いです。不動産会社は、契約の際に必要となる「重要事項説明書」に記載する固定資産税評価額をもとに固定資産税を計算しています。信頼できる不動産会社の担当者は、固定資産税の税額や買主との精算方法をわかりやすく説明してくれるでしょう。
また信頼できる不動産会社を探して仲介を依頼することで、マンションを高値で売却してもらえる可能性が高まります。
信頼できる不動産会社は、マンションの売却査定を依頼するとわかります。良い不動産会社ほど、査定の根拠が明確であり、売却までの道筋を分かりやすく提案してくれるためです。
もし時間がない方は、一括査定サービスを活用すると、短時間で複数社の査定結果を比較できるため利用してみてはいかがでしょうか。
・マンションを売却するときは売主と買主で固定資産税を精算する
・固定資産税を精算する際の起算日は不動産会社によって異なる
・固定資産税を精算する際の起算日は不動産会社によって異なる
固定資産税まとめ

- 固定資産税は毎年1月1日時点で不動産を所有している人に課せられる税金
- 固定資産税は固定資産税評価額をもとに設定された課税標準額に税率をかけて計算される
- 所定の条件を満たすと固定資産税の軽減措置を受けて税額が低くなる
- マンションを売却する場合売主と買主で固定資産税の精算が必要
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FP監修者情報:品木彰
■氏名:品木彰
■保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
■プロフィール:大手生命保険会社にて7年半勤務し、チームリーダーや管理職候補として個人営業、法人営業の両方を経験。その後人材会社で転職したのちに副業としてwebライターを始める。お金に関する正しい知識をたくさんの人々に知って欲しいとの思いから、2019年1月よりwebライターとして独立。これまで保険、不動産、税金、音楽など幅広いジャンルの記事を、多数のメディアで執筆・監修している。