大きな資産である不動産の売却では、小さな不安や悩みが大きなトラブルにも発展しかねません。
不動産取引やそれを考える過程で少しでも気になることがあれば、適切な機関に相談するようにしましょう。「適切な機関」とは、具体的には専門性と中立性が備わっていて信頼できる機関です。
本記事では、不動産売却で起こりがちなトラブル事例とともに無料で相談できる相談窓口3選をご紹介します。
不動産トラブル事例
まずは、不動産売却で起こりがちなトラブル事例から見ていきましょう。
不動産売却前のトラブル
いざ不動産を売ろう!と思っても、次のような「売却以前のトラブル」によって、売却できなかったり売却活動が制限されたりするケースも少なくありません。
- 土地や一戸建ての売却を前に隣地との境界が不明確
- 亡くなった親に所有権があると思ったら先々代のままだった
- 不動産を相続したら思ったより相続税が高額!
- 離婚に際し夫婦で売却の意志が異なる
不動産を売り出す前は、どこに相談していいかもわからないもの。しかし、トラブルを解決しないことには売ろうにも売れないため、早急な対応が求められるといえるでしょう。
不動産会社とのトラブル
売却を依頼した不動産会社との間でも、次のようなトラブルが生じることもあります。
- 媒介契約上の義務を果たしてくれない
- 囲い込み
不動産売却に際しては、不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約書の3つの種類とその主な特徴は、以下の通りです。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
期間 | 取り決めなし(3ヶ月以内推奨) | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
契約可能社数 | 取り決めなし | 1社 | 1社 |
売主への報告 | 取り決めなし | 2週に1回以上 | 1週に1回以上 |
レインズへの登録 | 取り決めなし | 7日以内 | 5日以内 |
上記は、不動産会社の義務です。それにも関わらず、「専任媒介なのに1週間以上たってもレインズに登録してくれない」「専属専任なのにここ数週間なんの連絡もない」という場合は、完全に不動産会社の業法違反となります。
[st-midasibox title=”レインズとは?” fontawesome=”” bordercolor=”” color=”” bgcolor=”” borderwidth=”” borderradius=”” titleweight=”bold”]不動産会社専門の物件情報サイト。登録が完了したら、登録証明書が発行される。一般消費者は閲覧不可なため、登録の可否が気になる場合は証明書の交付を求めましょう。
[/st-midasibox]専任媒介契約と専属専任媒介契約を締結している場合には、「囲い込み」にも注意が必要です。
[st-midasibox title=”囲い込みとは?” fontawesome=”” bordercolor=”” color=”” bgcolor=”” borderwidth=”” borderradius=”” titleweight=”bold”]1社独占で販促活動しているのをいいことに、他社に物件情報を開示せず、囲い込でしまう行為です。囲い込む不動産会社のメリットは、自社内で買主を見つけられること。売主、買主、両者から仲介手数料を受領することを狙った悪質な行為です。
[/st-midasibox]囲い込みは、古くから不動産業界で問題視されている業法違反の行為です。売主が気づくことが難しく、いまだに囲い込みを行う業者は一定数存在します。
不動産トラブルにあったときの対応策
不動産トラブルの解決には、適切な機関への相談が必要です。
ただその前に、大きなトラブルに発展させないため、また状況を正確に把握するため、次の対応策を講じてみてください。
自分や物件にトラブルの原因がある場合
権利関係でトラブルが発生している場合は、まずは状況整理に努めましょう。
- 所有権関係のトラブル:所有権がわかる登記事項証明書
- 土地の境界トラブル:測量図
- 相続トラブル:遺産分割協議書や遺言書
- 離婚によるトラブル:離婚協議書
全ての書類は「あれば」で大丈夫ですので、準備の上、相談に臨むことで、よりスムーズな解決が見込めます。
不動産会社など他者がトラブルの元凶の場合
不動産会社などの間でトラブルが生じている場合は、まず相手との契約内容を確認します。媒介契約上のトラブルなら媒介契約書、売買契約上のトラブルなら売買契約書を確認してください。
続いて、相手が一般の方なら、事を荒立たせないため、直接クレームや指摘することは避けた方が賢明です。状況と契約内容を把握の上、後程、紹介する適切な機関に相談してください。
一方で、不動産会社と契約上のトラブルが生じている場合は、「契約違反ではないか」と進言してみましょう。不動産取引では、多くの場合、1人の担当者が窓口となっているものです。あってはならないことですが、担当者の経験が浅かったり、能力が低かったりする場合は、定期報告やレインズ登録のミスが生まれることもあります。
一度、担当者の上長と話すなどし、悪意があるのか、ミスなのか確認してみるといいでしょう。もちろんここで適切な対応が取られない場合は、後述する適切な相談窓口に相談してください。
【全国対応】不動産トラブルの相談窓口3選
ここからは、不動産トラブルが発生した場合の適切な相談窓口を3つご紹介します。
1.宅地建物取引業協会
(出典:宅建協会)
全国47都道府県にある宅地建物取引業協会は、公的社団法人全国宅地建物取引業保証協会と共同で不動産相談窓口を開設しています。
不動産取引における困りごとの相談から不動産業者への苦情まで、なんでも受け付けている窓口です。
なお、相談は予約制となっているためご注意ください。
2.法テラス
(出典:法テラス)
登記や所有権、不動産会社との宅建業法上のトラブルなどは、法テラスに相談してみましょう。国が設立した機関であるため、安心して利用できます。
無料相談とともに、弁護士や司法書士、その他の相談窓口の紹介もしてくれます。
3.イイタンコンシェルジュ
最後に紹介するのは、当サイト、イイタンコンシェルジュです。
イイタンコンシェルジュは、不動産会社の垣根を超えて100名以上の全国の不動産担当者がアドバイザーとして集う、他にはないプラットフォームです。「不動産会社」ではなく、日々、最前線で不動産取引に携わっている不動産担当者が相談者の悩みに答えてくれるため、具体的かつ中立的な回答を得られやすいといえます。
お悩み相談室では、匿名でお悩みを投稿することも可能です。全国から寄せられた不動産購入・売却・賃貸・管理のお悩みとその回答も閲覧できるため、不動産トラブルを抱えている人は一度チェックしてみるといいでしょう。
まとめ
不動産トラブルを早期解決するには、中立的な立場で助言してくれる専門家の存在がなにより重要です。
すでに依頼している不動産会社が力になってくれれば一番ですが、その不動産会社に不信感があったり、売却前の段階でトラブルがあったりする場合は、第三者の専門機関に相談することをおすすめします。